朝礼訓辞

平成30年6月 朝礼訓辞

 7年前、平成23年3月11日に発生したマグニチュード9.0という、未曾有の大地震とそれに伴う大地震は東北地方沿岸部に壊滅的な打撃を与え、当時の報道によれば死者は15,441人、行方不明者7,718人にものぼりました。
 1000年に一度あるかないかの大地震と云われています。
大地震に伴う大津波は、以前より想定されていて、岩手・宮城・福島の各県の沿岸には、200㎞にわたり、約10mの防潮堤が築かれていましたが、何の役にも立ちませんでした。津波は38mを越える想定外のものでした。

 今をさかのぼること、164年前、安政元年11月4日と5日に安政東海大地震、安政南海大地震の2つの地震が2日続けて起りました。
 マグニチュード8.4であったと云われますが、死者3,600人、家屋の倒壊は69,000棟であったと云われています。
 この安政の大地震の時、紀州藩(今の和歌山県)の廣村という村で村長さんの機転により、400人の村人の命が救われたという実話が残されていて、今でも「稲むらの火」という物語として語り継がれています。

 紀州藩、廣村の村長は五兵衛という人で、村一番の庄屋でもありました。高台にある自分の家から、ふと下の村を見下ろしていましたが、村では農作を祝うお祭りの準備に心をうばわれて、さっき起きた地震には気がついていない様子でした。
 そして、更に向う側の海へ目を移した五兵衛は、波が沖へ沖へと動いていて、見る見る海岸には、白い砂浜や黒い岩底が現れて、大変だ、津波がやって来るに違いないと直感しました。
 よし、と家にかけ込んだ五兵衛は、大きな松明を持って飛び出し、そこに取り入れたばかりの稲束が積んであるのを見て、次々と火をつけました。
 夕方になり、祭りの準備を終えた村人は、高台に火の手があがっているのを見て、「火事だ、庄屋さんの家だと」皆んなが呼びながら高台に向って走りました。
 そのあと、襲って来た大津波からのがれ、村人400人の命が助けられたのです。

 この物語は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が「生ける神」として書いていますが、これを基に文部省は、国定教科の教材として掲載され、道徳教育に使用されました。
また、アメリカやシンガポールでも小学校の教材として使用されたことのある有名な物語です。

 政府は今、自然災害に対する対策にとても力を入れています。国民の関心も高まって来つつあるようです。

 最近、人を殺す、親が子を殺す、子が親を殺すなど悲惨なニュースが流れますが、この世の中には人を助けたい、どうにかして人の役に立ちたいと思う人が沢山あります。
 私達は、人の命に係る、大切な仕事に従事でき、とても恵まれた仕事場で働いています。
 眞心から病人をいたわり、寄り添って行きましょう。
梅雨に入りました、風邪や食中毒などにも注意しながら、今月も一緒に頑張りましょう。

  永田 行博著    
「春秋を楽しむ」より 
 

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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