朝礼訓辞

令和3年11月 朝礼訓辞

 老人と蝸(カタツムリ)という小話を書いた小説家がいます。
イギリスのある都市の公園が舞台です。ベンチで考え込んでいる老人がいました。そこへ通りかかったのが経済や老人問題に関心の深い1人の日本人でした。

 孤影悄然たる老人に思わず声を掛けました。
「老いてからの孤独は、さぞ辛いものでしょうね。」すると老人は答えました。「これはご親切なことで。だが、孤独を楽しむのは私の趣味でして。」

 不思議そうな顔をしている日本人を見て更に付け加えました。
「わしには思い出という財産が多くあって困るほどじゃ。柔和な陽の光と、澄んだ大気の中で誰にもわずらわされずに、1日中考えている。こんな贅沢な時間の過ごし方があるだろうか。」


 ヨーロッパへ出掛けたある人が一番印象に残ったのは、蝸をいかに速く走らせるか、という不思議な趣味に熱中している老人に出会ったことでした。好奇心の強い彼は速く走らせる方法を、「どうか御伝授願いたい」と懇請してみたが丁重に断わられました。
「だって日本人に教えると、日本製の自動車より速く走らせるかも知れないからね。」とにやりと笑ったということです。
因みに1985年のギネスブックによると最も早い蝸は、時速54メートル、遅いものは58センチとなっているそうです。


 長崎の原爆平和記念公園にある平和記念像は北村西望という彫刻家が創りましたが、彼は「たゆまざる歩みのおそらしカタツムリ」という句を詠んでいます。

 西望は長崎の平和記念像を製作中のある夜、足下にいた蝸が翌朝には、像の上にまで達していたのに気づいて詠んだ句だと云われています。


 この句は私に、コツコツと弛みなく歩け、ゆっくり ゆっくり1歩ずつ歩け、そうすれば必ず報われるということを教えてくれています。


 新型コロナは日本では収束に向かっているようですが、まだ決して油断はならないと思います。第6波がやって来るかも知れませんし、通年のインフルエンザも流行するかも知れません。


手洗い・うがい・消毒に気をつけて毎日行きましょう。
今月も元気に頑張りましょう。よろしくお願い申し上げます。

山本健太郎著「話の知恵袋」より引用

令和 3年11月10日(水)

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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