朝礼訓辞

平成30年1月 朝礼訓辞

 明けましておめでとうございます。昨年と同様、本年もよろしくお願い申し上げます。

   人間学を学ぶ月刊誌といわれている「致知」という本があります。
その中に「人生を照らす言葉」という連載記事が昨年の12月号にありました。
書かれていたのは、国際大学療法学会の会長であられる鈴木秀子さんという方です。

 鈴木先生の知人に大きな家に住んで、豊かな暮らしをしていた女性がいました。
ところが、御主人が経営しておられた会社が倒産して、家の中の家具や電化製品は差し押さえ
られ、地方にある小さな一軒家に引っ越すことになってしまいました。
 この後、夫婦を苦境から救ったのは、幼い1人娘でした。
その子は、引っ越したあと「家の中が全部見える」と云って、無邪気に走り回ったり、
勉強している姿をいつも母親が台所から見ていて呉れることを喜んだり、家族がいつも川の字
になり眠ると云っては、はしゃいだり、倒産ということが嘘ではなかったかと思うぐらい小さな
一軒家での生活を楽しんでいたのです。
 過労のため、父親は早く亡くなってしまわれましたが、母親が女手一つで子供を育てる苦労を
乗り越えさせて呉れたのもまた女の子の屈託のない笑顔でした。

 娘さんが成長して大学進学が決まり、いよいよ上京という朝、母親はその子を呼んで、
これまでの出来事を振り返りながら、静かに話しました。
「会社が倒産した時は、本当は、お父さんと2人死んでしまいたいと思っていたの。
そんな時でも、あなたはいつも笑っていた。あなたが喜ぶ度に、お母さんは、ひとつひとつ目が
開かれて行った。それまでは贅沢な暮らしが出来ることを幸せだと思っていたの。
しかし、そうではないことを、あなたが私に教えて呉れた。
今まで、私が生きて来られたのは、あなたがそばに居て呉れたお陰なのよ。
日本には清貧という言葉があるけれども、あなたには、どんなに苦しくてもそこに
素晴らしさを見つける力がある、その力をこれからも伸ばして行きなさい」
 以上の言葉を餞に贈りました。

 我が子の何気ない振舞いによって人間の本当の幸せに目覚めたのです。

 昨年の1月は、アメリカのトランプ大統領が「アメリカファースト」という言葉を残し、
大統領に就任しました。
 昨年の7月には、小池百合子氏が「都民ファースト」という言葉を残し、東京都知事に
就任しました。

 今年は「患者さまファースト」で種子島の精神科医療に力を合わせて頑張って参りましょう。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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