朝礼訓辞

平成29年10月 朝礼訓辞

 鹿児島の城山の下にある西郷隆盛の銅像には、沢山の観光客がつめかけ、写真を撮っている
風景が目立つようになって来ています。
 来年は、明治維新から丁度150年、西郷さんが亡くなってから丁度140年になります。
NHKの日曜の夜の大河ドラマは来年1月より「西郷どん(セゴドン)」が放映されます。
西郷さんほど日本人に愛され、親しまれた人は他になく、来年から小学校の道徳の教科書にも
採用されることになっています。

 西郷さんは書物を一冊も書き残していないし、また写真も一枚も残っていないそうです。
今、私達が見る西郷の肖像画はキヨツネという外国の人が書いたもので、
体格も立派で顔立ちも本当に「よかにせ」に書かれています。
 書(掛軸や扁額)は、いくらか残されていますが、偽物がほとんどで「何でも鑑定団」に
出せば、本物なら3000万円、偽物は3000円位でしょう。
 西郷さんの精神的思想、つまり遺訓としては「南州翁遺訓」というものが残されています。
これは、鹿児島の人が書いたものではなく、旧庄内藩(今の山形県)の菅実秀という人が西郷の
言葉を残したものですが、何故、山形なのかは今日は話しませんが、
その中で5つを紹介したいと思います。

1、 「天を敬い、人を愛しなさい」
   というものです。かの有名な「敬天愛人」です。
2、 「子孫に美田を買わず」
   というものです。私腹を肥やして財産など残すべきではないと教えています。
3、 「税を軽くして国民生活を豊かにすることこそ、その国の力を高めることになる」
   というものです。消費税を8%から10%に上げるという今の政治家に聞かせたい位です。
4、 「どんなことでも後悔しても始まらない」
   とあります。間違ったことを改めるには、自分が間違ったことを反省すればよい。
   失敗にこだわらず、次の一歩を踏み出せばよい。過ちを後悔するのは、
   割れた茶碗のかけらを寄せ集めるようなのだと教えました。
5、 「命もいらず名もいらず」
   という言葉があります。宮位も金も要らないという人は始末に困る人である。
   しかし、このように始末に困る人でなければ、困難を共にして、
   国家の命運を分けるような大きな仕事は成し遂げられないというものです。

 西郷さんは、一滴も酒を飲めなかったそうです。
しかし、煙草が大好きで「キザミ煙草」を、キセルにつめ服んでいましたが、いつも
キセルで頭を掻いていたので、右側頭部の耳の上あたりは毛が薄くなり禿げていました。
 大島に三度も流されましたが、蚊にかまれたのでしょうが、フィラリアに感染していて、
陰のう水腫にかかってしまいました。相当大きな陰のうをぶら下げていましたが、或る時、
明治天皇の前で条幅の書を書くよう命じらました。
大きな陰のうが邪魔になり、付き人がそばで陰のうを持ち上げて、書を描いたという逸話は
以前、お話したことがあります。

 西郷遺訓の中で最もよく知られているのは、云うまでもなく「敬天愛人」だとは思いますが、
自分を愛するように人をも愛しなさい。永遠に続く言葉だと思います。

 私達も自分を愛するように、自分の家族を愛するように病人を愛し、少しでも患者さんの為に
なれるように、頑張りたいものだと思います。

 気候の変わり目ですが、風邪など引かないように、体調に気をつけて下さい。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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