朝礼訓辞

平成28年2月 朝礼訓辞

 内村鑑三という有名な思想家が、世界に誇る日本の5大偉人の名を挙げています。
1.西郷隆盛(薩摩の雄、明治維新を成し遂げた人)
2.中江兆民(高知県 土佐の自由民権運動を起こした人)
3.上杉鷹山(山形県 米沢藩 倹約、節約を唱え藩の財政を建て直した人)
4.二宮尊徳(金次郎と呼ばれ、陰徳、穏善を説いた人)
5.日蓮上人(日蓮宗を興した人)

 中でも、最も偉大なのは西郷であったと称えました。生命も要らず、名も要らず、
子孫のために美田を残さず、と日本国の将来を思い、明治維新を成し遂げました。
身長180㎝の当時としては大男で、目がぎょろっとして、着物などに無頓着で、欲が無く、
物や金を誰にでもあげてしまうほどのお人好しでした。

 今から188年前(1828年)、鹿児島市加治屋町に生まれました。少年の頃は大人しく、
無口でボーッとしていて、殆ど口をきかなかったので、知恵遅れではないかと疑われ、いじめに
あっていたようです。
 青年になると、読み書きやそろばんが上手で、村の役場の会計係をしていたのですが、
当時の薩摩藩主、島津斉彬に認められ、江戸にのぼり、薩摩屋敷の庭の手入れの仕事などをして
いましたが、その后スピード出世をします。薩摩藩の重要なポストについていましたが、斉彬の
死后、その義弟にあたる島津久光に疎まれ、奄美大島と沖永良部島と二度流罪になりました。

 大島に流された時に感染したのでしょうか、フィラリアに罹り、陰嚢水腫になり、それは西瓜
ほどの大きさで、明治天皇の前で書を書くよう命ぜられた時は、陰嚢を横で家来の1人が抱えて
条幅を書いたという逸話が残っています。

 鉄砲が好きで、いつも犬を連れて狩りに出ていましたが、キジやハトの鳥類は撃たず、
ウサギ狩りや猪狩りが主でした。
 開聞岳のふもとに鰻池(うなぎいけ)という池があるそうですが、その池のほとりに鰻屋が
あって、或る日、大きな男が犬を連れてのそっと入って来て、鰻丼を2つ注文しました。
鰻丼を2つ、茶屋のじいさんが作って持って来たら、ガバッと2つとも土間に投げつけました。
それを犬がぺろりと平らげると、10倍位のお金を置いて、黙って帰って行ったそうです。
茶屋のじいさんは、呆気にとられるやら、腹立たしいやらでしたが、その人こそ西郷隆盛だった
と後で知ってびっくりしたという逸話が残っています。

 森や林が好きで、林の中の樹木の間から、天の声を聞いていたのではないか、それはまるで
旧約聖書に出て来る預言者に似ている、と内村鑑三は云っています。「敬天愛人」という有名な
言葉は、神を敬い、人を愛しなさい、との西郷の遺言です。

 山口県長州の木戸孝允(桂小五郎)、高知県土佐の坂本龍馬らと明治維新を成し遂げ、
不幸にも幼友達の大久保利通と袂(たもと)を分かち、鹿児島に帰り兵を挙げ、西南戦争
となって敗れ、城山の洞窟で切腹自殺しました。時に50才でした。
彼は軍人でもなく、政治家でもなく、秀でた思想家であったと私は思います。

 この日本で最も偉大であり、誰よりも日本の国を想う、西郷の志を忘れることなく、私達は人
にやさしく、親切に接し、特に病む人や貧しい人のために頑張らなくてはならないと思います。

 2月まだまだ寒さが続きます。体調に気を付け、特にインフルエンザに注意し、
日々の診療に励みましょう。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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